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2009.10.21
[インタビュー]
本日(21日)上映、日本映画・ある視点部門『TOCHKA』松村浩行監督特別寄稿! TIFF Times 10月19日号より

日本映画・ある視点部門『TOCHKA』松村浩行監督から特別寄稿をいただきました!全文掲載します!

『TOCHKA』について
松村浩行(映画監督)


僕の好きな映画とは、世界と人間との生きた調和を肯定的に描くものです。しかし映画がそのような調和を具現化するためには、作る側はもちろんのこと見る側も、さまざまな手続きや思考、さらには忍耐を経なくてはなりません。そこには一切の安直さがあってはならない。つまり、一見して否定的なものを介さずには描き得ない・感じ得ない肯定性というものも存在するということです。そしてそのようにして掴み取られた一片の肯定性にしか、信じるものなどないということです。現在の映画でそのような試みはほとんど見られませんが、僕の目指すものはそこにしかないのです。
またスタイルについていえば、もしこの映画が切り詰めた、貧しい形式を持っているという印象を人に与えるとすれば、それは他が贅沢過ぎるからそう見えるだけです。僕自身はまだまだ贅沢過ぎるとさえ思っています。もちろん、スタイルがスタイルとして独立してあっては絶対にならない。それは主題によって決定されるべきものだし、1人の作家のうちで固定されることがあってはいけないのです。この映画のスタイルは、トーチカという構造体の持つ見せかけの永続性と死すべき人間のかけがえのない言葉や眼差し、それにもっと息の永い時間を持つ風や光を共存させ、反響させることから生まれました。それらすべてを尊重する態度こそが、目と耳の我慢強さを僕に求めたのです。

(TIFF times10月19日号掲載)


上映スケジュール:
10/21 20:00 - (開場19:40)
当日券¥1500
シネマート六本木窓口にて午前10時より販売いたします。

登壇ゲスト(予定):松村浩行監督

『TOCHKA』

トーチカ・ユニオン


監督:松村浩行
キャスト:藤田陽子、菅田 俊

[解説]
北海道に残る戦争遺跡トーチカ。引き寄せられるように出会った見知らぬ男女。ワンロケーション、登場人物ふたりというミニマルな構成によって描かれる場所と記憶の物語。

[あらすじ]
日本最東端、ロシア国境の町、根室。ひとりの男が荒涼とした土地に立っている。彼の前にあるのは太平洋戦争中に作られた戦争遺跡トーチカの廃墟。生まれ故郷であるこの町に、彼は数十年ぶりに戻ってきた。誰も見ていないはずのその光景を偶然目にしていた女。トーチカの写真を撮っているという彼女の登場が男を深く揺り動かす。「あなただとは思わなかったんです」謎の言葉を残して立ち去った男のあとを女は追った。
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