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2009.10.24
[イベントレポート]
インスピレーションは日本映画からも コンペティション部門『NYスタテンアイランド物語』:10/23(金)記者会見

コンペティション部門上映作品、『NYスタテンアイランド物語』の公式記者会見がTIFF movie cafeにて行われました。

10/23(金):公式記者会見の模様

公式記者会見では、記者の方からのご質問にお答えいただきました。

Q:
「日本の映画を多くご覧になっていると伺いましたが、最近では何かご覧になりましたか?」

ジェームズ・デモナコ監督
「3、4年前ですが、市川 準監督の『トニー滝谷』を見ました。何度も見ています。『NY スタテンアイランド物語』のインスピレーションにもなっています。それから今村昌平監督の『うなぎ』も大好きで、登場人物のキャラクター設定をする上で参考にさせていただいています。それから黒澤映画もたくさん観ています」


Q:
「具体的に教えていただけますか?」

ジェームズ・デモナコ監督
「 『トニー滝谷』については、撮影のスタイルや映画のゆったりしたペースについて参考にさせてもらいました。私の映画では、ジャスパーのストーリーを伝える上で、『トニー滝谷』の独特な撮影方法を参考にしました。
ごくごく普通の人々が、奇妙な状況に巻き込まれて行くというストーリー展開は『うなぎ』を手本にしました」

Q:
「ご家族も出演されているそうですね。監督の育ったスタテンアイランドについてもおきかせください」

ジェームズ・デモナコ監督
「この作品には知り合いや家族がほとんど全員登場しているんですよ。ちなみに最初の方に出てくるギャングは全員僕の従兄です。本物のギャングかどうかは、ここでは教えることはできませんけどね!
スタテンアイランドには、3 つの特徴があります。ひとつは、ギャングが多いこと。僕の家の隣人もスタテンアイランドでは名の知れたギャングでした。二つ目に、ニューヨーク市の5 つの区の中で、スタテンアイランドだけが未だに下水道がないんです。三つ目は、ニューヨーク市の中で一番イタリアンのデリカテッセンが多いことです。それらを生かして、自伝的な要素を加えて作った作品です」

Q:
「シーモア・カッセルさん演じる老人役だけが、他の二人とは年が離れていて、監督が脚本を担当された過去の作品のメインキャラクターよりも年上です。監督の中に心境の変化があったのでしょうか?」

ジェームズ・デモナコ監督
「サリーは35歳、パルミは50歳くらい、ジャスパーは70歳と、広い年齢幅をもたせることによってスタテンアイランドの全容をより上手く描けると思ったからです。
ジャスパーを言葉が話せないという設定にした理由は、世の中から切り離された空虚な世界観を描きたかったからです。自分を社会から必要とされていないと考える人たちというのがこの映画のテーマなのですが、特にシーモアの場合は、ある意味社会から隔離されているという状況を隠喩的に表現するためにこのような設定にしました」

Q:
「制作は、リュック・ベッソンのEUROPA CORPですね。リュック・ベッソンさんからは何かアドバイスがありましたか?」

ジェームズ・デモナコ監督
「お金を出してくれたことにすごく感謝していますよ(笑)
テイクを重ねるときに、2回目は早口で喋ってもらうシーンを撮影するといいよ、とアドバイスをもらいました。編集をしていて、シーンがちょっと長いと感じた時に、そちらを使うことでとても役に立ちました」

現在は、スタテンアイランドに家を建てているというジェームズ・デモナコ監督でした。



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