[解説]
無慈悲な都会の生活からはじき出されてしまう青年が、追い詰められて取った行動とは? 現代社会の矛盾をじっくりとそしてダイナミックに描く、比インディペンデント映画界の雄、レイモンド・レッド監督の粘り強い演出に注目。
[あらすじ]
実話に基づくこの映画は、現代のフィリピン社会のなかで生き延びようと苦闘しながらも、ギリギリの状況に追い込まれ、孤立し、おかしくなっていく青年を描いた驚愕の物語である。よりよい生活を求めて田舎から大都市マニラにやってきた、ごくありふれたひとりの男が、キリストの不正な裁判から十字架での死に至る過程を意味する<十字架の道行きの留>のごとく、次々と起きる受難に躓いていく。彼は職を失い、未熟な強盗団の一味となってしまう。そして故郷にいる父親が不治の病に侵されるという、さらなるトラブルに苦悩する。精神的に追い込まれてしまった彼は、ついに故郷か地獄かという究極の展開に自らを導いてしまう。

