2009.10.23
[イベントレポート]
感極まって涙も!コンペティション部門『マニラ・スカイ』:10/20(火)記者会見、Q&A
フィリピン・インディペンデント映画界を牽引するレイモンド・レッド監督が撮った13年振りの新作『マニラ・スカイ』。東京国際映画祭でコンペティションに初めて選ばれたフィリピン映画となるこの作品のQ&Aと記者会見にレイモンド監督、ジョン・アルシリアヤさん(俳優)、スー・プラドさん(女優)、ラウル・アレリャーノさん(俳優)、デビッド・フコムさん(プロデューサー)が出席。
Q&Aで、13年ぶりの長編になったことへの質問に対しレイモンド監督は、「映画制作を初めて約26年ですが、私が映画を撮っていなかった間にデジタル技術が進み、多くの新しい監督がたくさん出てきたりとてもエキサイティングな時代になったと思います。しかし私は本当に信念を持って、自分が信じる作品しか作らないので、いつもオリジナルの脚本から作っています。仲間からは怠け者だとか言われますが(笑)。9年前に撮った非常にシリアスな作品『アニーノ』がカンヌの短編部門でグランプリを撮りました。
実はアイデアは色々ありその間も3本ほど映画祭に企画を出したりしていたのですが、題材が難しかったり予算がかかったりという理由でうまくいかなかったので、もう少し現実的な話を撮ろうということで今回の『マニラ・スカイ』を撮り始めたのです。」
と前作から間が空いてしまった理由を語りました。
また、「最近、社会問題を扱う辛い現実を描いたフィリピン映画が多いことは今のトレンドなのか」という質問に対して、監督は「確かに、このようなテーマを扱った映画が多く、特にインディペンデント系の映画にこの傾向は多いです。しかし最近の唯一のテーマというわけではなく、これはフィリピンにおいて長い間描かれているテーマです。フィリピンで最も有名なリノ・ブロッカ監督もこのようなテーマに挑戦しカンヌで受賞もしています。それはやはり人口の80%が貧困ラインにいるということもこのようなストーリー作りに影響していると思います。」と、フィリピンの貧困問題や政治・社会・文化における抑圧された現状についても触れられました。
さらに映画鑑賞直後に行われた舞台挨拶では、観客の方が、「私も田舎から東京に出てきて20年になり、主人公のラウルを自分のことのように思いみておりました。美しい田舎で、美しい生活を送り幸福に生活していくことは可能かどうか、それを私はいつも自問自答して、どちらかというと不可能かなと考えています。この映画を見て気持ちは揺れましたけれど、やはり結論はでません。監督はどう思われていますか?」
と、ご自身が長い間、思い持っていらっしゃった考えと合い重なり、感極まって涙しながら気持ちを伝えようとする場面も。
監督は「私はアーティストですからこのような問題を定義することはできても、政治家でもなければ、精神科医ではないので皆に答えを出すことは出来ないですが、このような貧困や状態は常に私の周囲で目にしているので、フィルムメーカーとして映画を撮るという手法でパワフルに訴えていきたいと思います。」と、サングラスの奥からじっと客席の方を見つめ、感慨深い様子でいらっしゃいました。
そしてその様子を見た出演者のアルシリアヤさんやプラドさんも、言葉は伝わらずとも彼女の心と通じ合ったのか、同じく涙を流されていらっしゃる様子がとても印象的でした。
上映鑑賞後に、何のフィルターもかかっていないダイレクトな気持ちのままで、作品の製作者と質疑応答ができるQ&Aですが、今日はまさにその醍醐味というようなすばらしい時間となりました。
Q&Aで、13年ぶりの長編になったことへの質問に対しレイモンド監督は、「映画制作を初めて約26年ですが、私が映画を撮っていなかった間にデジタル技術が進み、多くの新しい監督がたくさん出てきたりとてもエキサイティングな時代になったと思います。しかし私は本当に信念を持って、自分が信じる作品しか作らないので、いつもオリジナルの脚本から作っています。仲間からは怠け者だとか言われますが(笑)。9年前に撮った非常にシリアスな作品『アニーノ』がカンヌの短編部門でグランプリを撮りました。
実はアイデアは色々ありその間も3本ほど映画祭に企画を出したりしていたのですが、題材が難しかったり予算がかかったりという理由でうまくいかなかったので、もう少し現実的な話を撮ろうということで今回の『マニラ・スカイ』を撮り始めたのです。」
と前作から間が空いてしまった理由を語りました。
また、「最近、社会問題を扱う辛い現実を描いたフィリピン映画が多いことは今のトレンドなのか」という質問に対して、監督は「確かに、このようなテーマを扱った映画が多く、特にインディペンデント系の映画にこの傾向は多いです。しかし最近の唯一のテーマというわけではなく、これはフィリピンにおいて長い間描かれているテーマです。フィリピンで最も有名なリノ・ブロッカ監督もこのようなテーマに挑戦しカンヌで受賞もしています。それはやはり人口の80%が貧困ラインにいるということもこのようなストーリー作りに影響していると思います。」と、フィリピンの貧困問題や政治・社会・文化における抑圧された現状についても触れられました。
さらに映画鑑賞直後に行われた舞台挨拶では、観客の方が、「私も田舎から東京に出てきて20年になり、主人公のラウルを自分のことのように思いみておりました。美しい田舎で、美しい生活を送り幸福に生活していくことは可能かどうか、それを私はいつも自問自答して、どちらかというと不可能かなと考えています。この映画を見て気持ちは揺れましたけれど、やはり結論はでません。監督はどう思われていますか?」
と、ご自身が長い間、思い持っていらっしゃった考えと合い重なり、感極まって涙しながら気持ちを伝えようとする場面も。
監督は「私はアーティストですからこのような問題を定義することはできても、政治家でもなければ、精神科医ではないので皆に答えを出すことは出来ないですが、このような貧困や状態は常に私の周囲で目にしているので、フィルムメーカーとして映画を撮るという手法でパワフルに訴えていきたいと思います。」と、サングラスの奥からじっと客席の方を見つめ、感慨深い様子でいらっしゃいました。
そしてその様子を見た出演者のアルシリアヤさんやプラドさんも、言葉は伝わらずとも彼女の心と通じ合ったのか、同じく涙を流されていらっしゃる様子がとても印象的でした。
上映鑑賞後に、何のフィルターもかかっていないダイレクトな気持ちのままで、作品の製作者と質疑応答ができるQ&Aですが、今日はまさにその醍醐味というようなすばらしい時間となりました。
左からデビッド・フコムさん(プロデューサー)、ジョン・アルシリアヤさん、スー・プラドさん、ラウル・アレリャーノさん、レイモンド・レッド監督