[解説]
巨匠キアロスタミ、驚愕の実験作。イランの古典叙事詩に基づく悲恋物語「シーリーン」の映画が上映中。しかしカメラはそれを写さず、客席で鑑賞する100人を超える女優たちの顔だけを次々にとらえ続ける。クライマックスが近づき、彼女らの目には大粒の涙が光り始める…。
[あらすじ]
『Shirin』は12世紀のイラン人詩人ニザーミー原作の情熱的な愛についての物語であり、また110人以上の女優を観客に、劇中劇でシーリーン自身がホスローとの愛を語る物語でもある。観客は自分たちが見ている映画のヒロインと一体化する。その時、観客は見る側としての主体と、見られる側の客体の、双方になり得るのだ。
