[解説]
アレキサンドリア・シリーズ第2作。前作のヤヒヤ青年も歳を重ね、今は重い心臓病で苦しむ身となった。手術と同時進行で繰り広げられる妄想の世界のなか、彼の良心の分身である少年によってヤヒヤは裁判にかけられ、半生が検証されるが…。
[あらすじ]
エジプト人映画監督ヤヒヤは、心臓手術を受けている最中、ある夢を見る。夢の中で子供の頃の彼は、成長した自分を殺そうとした罪で裁判を受けており、理想を捨て去り大人となった自分を告発している。映画監督になる夢は実現したが、今でもクリエイティヴな姿勢で自分の運命に自覚を持ち、目的に向かって個人的な生活や健康を犠牲にしてきたのかどうか、思いをめぐらせている。この抽象的な裁判を通して、エジプト革命やシャヒーンが抱く成功への絶えまぬ思い、アメリカン・ドリームが彼に与えた影響などを描く。
