2009.10.23[イベントレポート]
【動画レポート】『永遠の天』公開記者会見:10/19(月)
作品のテーマである”永遠の愛”についてそれぞれの想いを語って下さいました。
→作品詳細
2009.10.23[イベントレポート]
井上真央、岡田将生登場! 特別招待作品『僕の初恋をキミに捧ぐ』:10/21(水)舞台挨拶
舞台挨拶スタートまで時間があるにもかかわらず、広い会場は既に観客でいっぱいに!! 販売後、あっという間に完売となったプレミアチケットを手にすることができた皆さんは、ゲストの登場と上映の開始をいまかいまかと待ち侘びているようでした。
そしていよいよ舞台挨拶がスタート! 司会者の紹介で、今回のゲスト、主演の井上真央さん、岡田将生さん、新城毅彦監督のご登場しました!!
井上さんは流行のパープルカラーのワンピースに身を包み、いつもながらの可愛らしい姿に加えて、少し大人びた女性の表情も見せていました。一方、岡田さんは黒いハットの奥に「オトメン」の初々しい表情を覗かせつつ(笑)、スーツ姿で男前にキメていました!!
そんなイケメン岡田さんの人気ぶりを終始感じられた今回の舞台挨拶。最初の一言では、照れながら「岡田です」と話し出すと、会場の女性陣からは黄色い声援が!!(何故かちょっと男性の声も聞こえましたが…笑)すると、ますます照れてしまったのか、少しうつむいてしまいそうになりながらも、「こんなに沢山の方に来ていだいてとても嬉しいです」とご挨拶。
同じくちょっと緊張気味の新城監督は、17日に行われたグリーンカーペットについて話が及ぶと「色々な国の方々がいて緊張しました。また真央ちゃんと岡田くんの人気ぶりを見て、彼らのすごさを改めて実感しました」と、その時の心境を語りました。
井上さんは「グリーンカーペットを歩くのは初めてでしたが、向かう車の中でお2人(岡田さんと新城監督)が本っ当に緊張していたので、私も歩く前には少しドキドキしてしまいました。でも、岡田さんに素敵なエスコートをしてもらったり、沿道で『僕キミ』のパンフレットを持った沢山の方達からの声援をいただいたおかげで、とても楽しんで歩くことが出来ました。」と、グリーンカーペットを心から楽しんでいた様子でした。
この映画は、すでに世界6カ国からのオファーを受けており、公開の決定した国も。このことについて感想を聞くと、「純愛は世界共通。最後には皆さんに感動してもらえるんじゃないかと思います」(井上さん)、「繭(マユ)と逞(タクマ)の恋愛を、海外の方達にも共感してほしいです」(岡田さん)、「光栄なことです。日本独特の文化も盛り込まれているので、そういった点も楽しんでいただければ」(新城監督)と、それぞれコメント。
また映画について、井上さんは「この作品から色々考えさせられました。これからご覧になる皆さんには、映画の中の2人のような「タイムリミット」がなかったとしても、一生懸命に生きること、人を愛することの大切さを、感じていただけたらと思います。とてもピュアで、純粋な映画に仕上がっていますので、最後まで楽しんでいただければ嬉しいです。」と語りました。
そして最後にご挨拶となった岡田さん。「シメという大役を任せていただきました」と、またまた緊張気味に。「シメ…のシメ方がまだわからないですが」と前置きしつつも、「皆さんに素直な気持ちでこの映画を見ていただいて、心の中に何かが残ってくれれば良いなと思っています。どうぞ、よろしくお願いします!」としっかりとシメてくださり、会場は大きな拍手に包まれました。そんな観客の皆さんからのリアクションにホッとしたのか、最後には素敵な笑顔を客席へと向けていた岡田さんなのでした。
2009.10.23[イベントレポート]
監督でも作家でもない「辻 仁成」が魅せたライブステージ!!:10/22(木)@TIFFpark
TIFFparkにて、開催されたこの一夜限りのライブに大勢の方が詰め掛けました!
映画監督、作家とも違う「辻 仁成」さんの姿をひと目見ようと、アリーナは満杯に。
ライブ一曲目、名曲『ZOO』でスタートすると会場から大きな歓声が!
その後、『ACACIA』のZAMZAバージョンを初お披露目。会場は一気に熱気を帯びました。
ライブ中には、辻さんより「同じ地球に暮らすものとして、地球がなくならないように人と人とがつながろう!」とメッセージが伝えられ、夜の六本木の肌寒さをも吹き飛ばすパワフルなステージ・アクトを披露していただきました!!
2009.10.23[イベントレポート]
感極まって涙も!コンペティション部門『マニラ・スカイ』:10/20(火)記者会見、Q&A
Q&Aで、13年ぶりの長編になったことへの質問に対しレイモンド監督は、「映画制作を初めて約26年ですが、私が映画を撮っていなかった間にデジタル技術が進み、多くの新しい監督がたくさん出てきたりとてもエキサイティングな時代になったと思います。しかし私は本当に信念を持って、自分が信じる作品しか作らないので、いつもオリジナルの脚本から作っています。仲間からは怠け者だとか言われますが(笑)。9年前に撮った非常にシリアスな作品『アニーノ』がカンヌの短編部門でグランプリを撮りました。
実はアイデアは色々ありその間も3本ほど映画祭に企画を出したりしていたのですが、題材が難しかったり予算がかかったりという理由でうまくいかなかったので、もう少し現実的な話を撮ろうということで今回の『マニラ・スカイ』を撮り始めたのです。」
と前作から間が空いてしまった理由を語りました。
また、「最近、社会問題を扱う辛い現実を描いたフィリピン映画が多いことは今のトレンドなのか」という質問に対して、監督は「確かに、このようなテーマを扱った映画が多く、特にインディペンデント系の映画にこの傾向は多いです。しかし最近の唯一のテーマというわけではなく、これはフィリピンにおいて長い間描かれているテーマです。フィリピンで最も有名なリノ・ブロッカ監督もこのようなテーマに挑戦しカンヌで受賞もしています。それはやはり人口の80%が貧困ラインにいるということもこのようなストーリー作りに影響していると思います。」と、フィリピンの貧困問題や政治・社会・文化における抑圧された現状についても触れられました。
さらに映画鑑賞直後に行われた舞台挨拶では、観客の方が、「私も田舎から東京に出てきて20年になり、主人公のラウルを自分のことのように思いみておりました。美しい田舎で、美しい生活を送り幸福に生活していくことは可能かどうか、それを私はいつも自問自答して、どちらかというと不可能かなと考えています。この映画を見て気持ちは揺れましたけれど、やはり結論はでません。監督はどう思われていますか?」
と、ご自身が長い間、思い持っていらっしゃった考えと合い重なり、感極まって涙しながら気持ちを伝えようとする場面も。
監督は「私はアーティストですからこのような問題を定義することはできても、政治家でもなければ、精神科医ではないので皆に答えを出すことは出来ないですが、このような貧困や状態は常に私の周囲で目にしているので、フィルムメーカーとして映画を撮るという手法でパワフルに訴えていきたいと思います。」と、サングラスの奥からじっと客席の方を見つめ、感慨深い様子でいらっしゃいました。
そしてその様子を見た出演者のアルシリアヤさんやプラドさんも、言葉は伝わらずとも彼女の心と通じ合ったのか、同じく涙を流されていらっしゃる様子がとても印象的でした。
上映鑑賞後に、何のフィルターもかかっていないダイレクトな気持ちのままで、作品の製作者と質疑応答ができるQ&Aですが、今日はまさにその醍醐味というようなすばらしい時間となりました。
2009.10.23[イベントレポート]
ヤスミン監督の思い出を語る アジアの風部門『タレンタイム』:10/21(水)トークショー
まずは、『タレンタイム』の音楽監督にして、ヤスミン監督の盟友でもある、マレーシアの人気ミュージシャン=ピート・テオさんのミニ・ライヴからイベントはスタート。
アコースティック・ギターを手に、彼が歌い上げたのは、ミディアム・スローの名曲"Blue"。「旅立つ人と、残された人」をテーマにしたこの歌は、まさにこのイベントの幕開けにふさわしい1曲といえるでしょう。
「ヤスミンは忙しい毎日を過ごしていた人で、じつは僕のライヴを観たことがないんです。今日のこの歌を、彼女がどこかで聴いていてくれたらいいんですが・・・」という、ピートさんの言葉が胸にしみます。
続いて第2部は、石坂健治プログラミング・ディレクター(以下、PD)の司会で、「ヤスミン監督ゆかりの人々」を集めてのトークイベント。
最初にお言葉をいただいたのは、監督の実妹=オーキッド・アフマドさん。このお名前からもわかるように、長編デビュー作『ラブン』にはじまる“オーキッド4部作”で、シャリファ・アマニさんやシャリファ・アリヤナさんが演じていた、あの魅力的なキャラクターのモデルとなったのが彼女なのです。
オーキッドさんは、まず、天国のヤスミン監督と、彼女たちのご両親、監督のご主人、石坂PD、そして映画祭関係者に感謝の言葉を述べられた後、監督の思い出を語りはじめました。
『ラブン』の撮影中にお父様が糖尿病を患い、『細い目』の準備中にはお母様が心臓を悪くされたものの、ヤスミン監督はご両親を看病しながら、見事な傑作を完成させたこと。
『タレンタイム』の完成後、ヤスミン監督は、日本でロケする半自伝的映画『忘れな草』と、もう1本、シンガポールで撮影する新作を準備中であったこと。
ヤスミン監督の毎夜の日課は、その日「彼女の気持ちを傷つけてしまった人」を“許す”ということだったそうですが、もし今日、ヤスミン監督の映画を観て傷ついてしまった人がいたとしたら「どうか彼女を許してやってほしい」ということ。
そしてオーキッドさんは「監督の名前は忘れていただいてもかまいません、でも姉が映画に込めた“想い”は、忘れないでいていただけると嬉しいです」と、涙ながらにおっしゃったのでした。
次にマイクをとられたのが、新作『心の魔』で映画祭に参加されているホー・ユーハン監督。ホー監督は「俳優として」ヤスミン映画の常連ですし、逆に彼の映画ではヤスミン監督が「素晴らしい女優ぶり」を発揮しています。
ホー監督とヤスミン監督の出会いは、ヤスミン映画の撮影監督であるロウ・スン・キョンさんの紹介でした。当時、ヤスミン監督は既にCM監督として名声を得ていたので、緊張しながら待ち合わせの場所へと赴いたホー監督だったのですが、じつはヤスミン監督は彼以上に緊張していたようで、お互いガチガチの初対面に。でも、ふたりとも「(いい意味での)クレイジーで、似たもの同士」であることに気づいた彼らは、あっという間に仲よくなっていったそうです。
しかしながら、お互い忙しい身のホー監督とヤスミン監督は、なかなか会うチャンスがありません。延べ日数でいうならば、直接会ったのは1ヶ月程度とのことなのですが、電話でのコミュニケーションは毎日欠かしませんでした。ホー監督いわく、電話での会話のほとんどは「友人同士のバカ話し」だったそうで、彼の毎月の電話代の半分は、ヤスミン監督との通話に費やされていたとのこと。
また、映画監督デビューのきっかけに関する話題では、どうしたら長編映画を撮れるのだろう・・・と悩んでいたホー監督とヤスミン監督が、共通の友人であるオスマン・アリ監督にクアラルンプールのペトロナス・ツインタワーで相談をしたところ、彼がテレビドラマ製作用の予算をまわしてくれて、ヤスミン監督は『ラブン』を、ホー監督は"Min"をつくることができたこと、そして"Min"にはヤスミン監督のご両親が出演されていることをお話しいただきました。
そして最後は、ピート・テオさん。
ピートさんとヤスミン監督が出会ったのは、彼がファースト・アルバム"Rustic Living For Urbanites"をリリースして間もない頃。このアルバムをいたく気に入ったヤスミン監督は、ピートさんのブログに感想を書き込んだところ、これがきっかけとなって、ピートさんが監督のオフィスを訪れることに。そこで『細い目』を鑑賞したピートさんは「過去20年で、僕が観た最高の映画だ!」と作品を絶賛。シャイなヤスミン監督は謙遜することしきりだったようですが、この日からふたりは友人となり、ピートさんは監督の第3作『グブラ』に楽曲を提供することになるのです。
ホー監督と同様に、ピートさんもまた、なかなかヤスミン監督とお会いする時間はなかったようですが、携帯電話のショートメッセージを使ってのコミュニケーションが続いていました。その“会話”の内容は、映画や音楽の話題はもちろんのこと、ヤスミン監督自作のポエムが届くこともあったそうです。
『タレンタイム』で使われる楽曲の中で、最も強い印象を残すのがムハマド・シャフィー・ナスウィプさんが(劇中で)歌う"I Go"。ピートさんが歌うこの曲のオリジナル版は、諸事情あって当初はマレーシアではリリースされていなかったのですが、ヤスミン監督の熱烈なアプローチのかいもあって『タレンタイム』のサントラに含まれることに。ヤスミン監督はピートさんに、この“旅立ち”の曲はどのように完成したのか? 誰に向けて捧げられたのか? と、色々とたずねてきたそうなのですが、「この曲は(なにかに突き動かされるように)ほんの5分間でつくりあげた」というピートさんは、その時はまだ明確なイメージをもっていなかったそうです。
「でも、(ヤスミン監督が旅立ってしまった)いまは、"I Go"が誰のためにつくられたのか、僕はわかっている。だから今日、僕は"I Go"を歌うことができなかったんだ」と、言葉をつまらせながら語るピートさんの姿に、会場中から暖かい眼差しが注がれていたのはいうまでもありません。
そして、あっという間の約30分間を締めたのは「幸いにも、日本にはヤスミン監督の長編映画すべてのプリントが保管されていますので、今後も彼女の作品が上映される機会は多いことでしょう」という、石坂PDからのうれしいコメントでした。
アジアの映画史にその名を刻む、ヤスミン・アフマド監督のきらめくような作品群が、世代を超えて愛され続けていくことを願ってやみません。
2009.10.22[イベントレポート]
『ライブテープ』 舞台挨拶:10/19(月)
2009年の元旦に、74分1シーン1カットで撮影したライブドキュメントムービー『ライブテープ』。
長澤つぐみさんは出演のオファーを受けたのは撮影の4日前12月27日だったというエピソードを語ってくれました。
→作品詳細
2009.10.22[イベントレポート]
【動画レポート】『ダークハウス/暗い家』Q&A、公開記者会見:10/19(日)
4年前に起きた殺人事件の現場検証で、関係者の証言に食い違いが・・・・。
コンペティション部門出品作品『ダークハウス』のQAで飛び出した黒澤明の『羅生門』の影響について質問に、果たして監督の回答は?
■Q&A
■公開記者会見
→作品詳細
2009.10.22[イベントレポート]
【動画レポート】『わたし出すわ』舞台挨拶:10/21(水)
第17回以来の東京国際映画祭登場となる森田芳光監督の新作は、コミュニケーションツールとしてのお金に焦点を当てた『わたし出すわ』。
生々しくなりがちなテーマを前に、監督が俳優陣に求めたものとは?
→作品詳細
2009.10.22[イベントレポート]
【動画レポート】『台北に舞う雪』舞台挨拶&公開記者会見:10/18(日)
TIFFの国際審査員の経験もあるフォ・ジェンチィ監督の新作『台北に舞う雪』。
チェン・ボーリンさんを筆頭に、監督に「誇らしい」と言わしめた美しい俳優、女優の姿をご堪能ください。
■舞台挨拶
■公開記者会見
→作品詳細
2009.10.22[イベントレポート]
【動画レポート】『E.YAZAWA ROCK』グリーンカーペット&舞台挨拶:10/21(水)
その熱い生き様に、ステージ映像、インタビュー映像で迫るドキュメンタリー映画『E.YAZAWA ROCK』のワールドプレミア。
気合いの入ったYAZAWAフリークの熱狂的な歓迎に迎えられてステージに登場した矢沢永吉さんは、舞台挨拶は「何か落ち着かない」と表情を崩しながらも、増田久雄監督とともに、制作の経緯について語りました。
→作品詳細
2009.10.22[イベントレポート]
自伝的な要素が反映された作品 コンペティション部門『NYスタテンアイランド物語』:10/21(水)Q&A
ジェームズ・デモナコ監督の自伝的要素を強く反映したこの作品は、実際のスタテンアイランド島を舞台に撮影されました。
10/21(水):上映後Q&Aの模様
※以下のQ&Aには、映画の内容・結末に触れる要素が含まれます。
ジェームズ・デモナコ監督
「東京は初めてなのですが、この映画祭に参加できてとても光栄に思います。東京国際映画祭は評判が高く、特にニューヨークで良い評判があるので、参加することができて、とても光栄に思っています」
司会(矢田部プログラミング・ディレクター)
「監督は脚本も手がけられていまして、今回は3つのパートに分かれた作品となっていますが、いったいどうやって着想を得たのか、このような3部構成にしようと思われた経緯を教えてください」
ジェームズ・デモナコ監督
「あまりにもアイデアがありすぎて、1つに収められなかったというのが正直なところで、とりあえず3つのストーリーを使って1つにまとめるという方法を取りました。色々と言いたいことがあるというのは、私自身がスタテンアイランドの出身なので私の経験に基づいて言いたいことやアイデアがいっぱいあったということです」
観客の皆さんからのご質問にもお答えいただきました。
Q:
「それぞれのシークエンスに入る時にテーマソングのような音楽があって、それぞれとても各ストーリーに合っていて耳になじみやすく、興味深かったです。これは脚本を書いている時からイメージが既にあったのか、それとも撮影している内にあの曲に決まっていったのでしょうか?」
ジェームズ・デモナコ監督
「曲のアイデアはありました。脚本書いている段階でこういうジャンルの音楽にしようということは決めていたのですが、どの音楽にするかというのは、編集が終わった段階で決めました」
Q:
「ロケの部分は全て監督のご出身のスタテンアイランドで撮影されましたか?また興味深かったのが、ジャスパー(シーモア・カッセル)が“解体”する時に2つ目のボタンを取ることでした。その2つ目には何か意味があるのかお伺いしたいです」
ジェームズ・デモナコ監督
「全編スタテンアイランドで撮影したのですが、森のシーンだけはスタテンアイランドではないのです。というのもスタテンアイランドの政府が撮影していると森が破壊されてしまうのでは、という可能性をおそれて撮影許可が降りませんでした。
次にボタンの件ですが、自分がこのようなことをしなければいけなかった事にに対する懸念というものを表現していますが、2個目ということに意味はないですね。ただ、2個目って言ってくださったことは凄く嬉しいです。今までそこまで意識して見てくださったかたはいなかったので」
Q:
「生まれ故郷を撮影するというのは「映画を撮るならここで」とずっと決めていたのか、改めてロケハンをして新たな発見があったのかをお聞きしたいのですが…」
ジェームズ・デモナコ監督
「最初からスタテンアイランドで撮影したいと思っていました。そして本当に、(スタテンアイランドの)ありのままの姿を撮影したかったので全編ロケで撮ろうと思ったのですが、ただ、森のシーンだけはどうしても撮影許可が降りなかったので、そこだけは皮肉なことに撮影できませんでしたが、それ以外はずっと撮りたかったスタテンアイランドで撮影しました」
Q:
「キャストについて。それぞれのストーリーについてどのようにキャスティングをおこないましたか?」
ジェームズ・デモナコ監督
「イーサン(・ホーク)とは以前にも一緒に仕事をしたことがあるのですが、彼自身は凄く頭のいい人なのですが、負け犬の役をやらせると凄く上手なので彼にお願いしました。ヴィンセント(・ドフノリオ)については、彼だけイタリア系アメリカ人なのですが、彼はイタリア系アメリカ人としてのマフィアの役をやったことがないのでお願いしました。実は元々はレイ・リオッタにお願いしようかと思っていたのですが、彼は『グッドフェローズ』で既に(マフィアの役を)やってしまっていたので、そのパロディになってしまう懸念もありました。ヴィンセントの『フルメタル・ジャケット』での演技が凄く好きだったのでお願いすることにしました。そしてシーモアですが、彼はジョン・カサヴェテス監督の映画で大好きだったのですが、残念なことに今のアメリカの映画の中では少し忘れ去られた存在になっていたので、メインストリームに戻って欲しいと気持ちがありました。現在の若い映画ファンに知られてしないということが逆に良かったのは、“本当のデリ(総菜屋)にもああいうおじさんいるよね”という感じになったことです」
Q:
「映画の冒頭にマンハッタンの説明があって、映画の重要なシーンでもマンハッタンの映像が流れたりしていましたが、監督はマンハッタンに対してどういった思いがあるのでしょうか?また、この映画の中にマンハッタンが出てくることにどのような意味があったのかお聞きしたいです」
ジェームズ・デモナコ監督
「私自身はスタテンアイランドで育っていますが、映画の冒頭でも言いましたけれどスタテンアイランドというのは忘れ去られている、あまり意味がない存在という感じなのです。そういう感覚を、そこで育っていた私も常に感じていたのです。なので、スタテンアイランドの海辺から良く見えるマンハッタンのスカイラインを見ると、凄く圧倒的で、そびえ立っているように見えるので、マンハッタンに住むということは成功を表していると思っていました。ですので、これは私にとってすごく個人的なテーマでもあるのです。この映画のアイデアでもあるのですが、この登場人物の3人は自分が社会にとって存在意義が無いように考えています。そのため世の中で存在意義がある者になりたいと、もがいているのです。そして、毎回マンハッタンのスカイラインが出てくるときは、隠喩として使っているのですが、自分にあまり意味がない、存在意義が感じられないのでマンハッタンのような、より大きいものになりたいということを示しています」
Q:
「最後のシーンで、マフィアの人たちが公園の森を救った訳なのですが、これはもともと森自体を大切に思っているからということではなく、自分たちの名前を残したいから、マスコミに載りたいからということだったと思うのですが、どうしてこのようなアイデアが生まれたのでしょうか。誰かモデルがいたのですか?」
ジェームズ・デモナコ監督
「この映画の究極的なテーマとは“エゴ”だという風に思っています。ここに出てくる3人の男性達は、何が大切かということを見失ってしまっていて、一方、女性達のほうが何が大切なのかということをよくわかっているという構成になっていると思います。パルミ(ヴィンセント・ドノフリオ)の行動というのは、本当にエゴだけですし、森が大切なんて全然思っていません。彼は自分の名前を残したいだけなんですね。そして、サリー(イーサン・ホーク)にしても、子供とは言っていますが、それよりも自分が重要だという風に思いたいということが大きいのです。それに対してメアリーはそれよりも“愛”というものが大切だとか…この映画に出てくる女性はもっと大切なことがわかっていて、男性が道筋からすこし逸れてしまっている。ですが、特に誰ということではなく、男の人たちがエゴというものを代表していると思います」
Q:
「先ほどの質問で自分の体験を少し入れているとういうようなニュアンスのことを言いましたが、今のエゴのことも含め自身の体験が反映されている部分が具体的にあれば教えていただきたいのですが」
ジェームズ・デモナコ監督
「具体的な経験というよりはテーマ的な意味で自分の経験に基づいているということで、別に私は木に住んだことはないです。デリカで働いていたことあるのですが、自分に意味がないと感じているとか、小さいところに住んでいてマンハッタンのような大きいところに住みたいと思っているというのは、小さい村や町に生まれ育って、大都市に憧れている人に通じる普遍的な何かがあるのではないかと思っています」
Q:
「シーモア・カッセルさんの演技が素晴らしかったのですが、撮影中のエピソードなどがあればお聞かせください。あと、最後のシーンが手話での会話でしたが、その時はどのような内容の話がおこなわれたのでしょうか?」
ジェームズ・デモナコ監督
「シーモアは非常に興味深い男性です。彼はジョン・カサヴェテス監督の映画に出演していて70年代初期のインディペンテンド映画で活躍されていた方です。その当時の撮影方法はあまり照明を使わずいきなりカメラで撮る、という撮影だったそうです。今作でも、その当時に比べればずっと照明を多く使うので、“照明に時間がかかりすぎる”とずっと文句を言っていました。彼はシーンの間はずっと喋らない、台詞のない役なので、シーンとシーンの合間にずっと文句を言うのです。シーンの間に喋れないからその分喋っていたということもあるのかもしれませんが、それが撮影6週間の間ずっと続きました。あまりにもシーンの間がうるさいので…ちょっと、困りものでもありました(笑)。
そして、手話の会話の内容ですが、少年が、ジャスパー(シーモア・カッセル)に「何で公園に一人でいるの?家族はいないの?」と聞きました。そしてジャスパーは「ああ、家族はいないんだよ」といい、そしたら少年が「じゃあ、僕が友達になってあげるよ」というようなことを言っていました」
Q:
「踊るシーンが本当に素晴らしいのですが、これは監督の演出なのかシーモアさんのアドリブなのかお聞かせください」
ジェームズ・デモナコ監督
「あのシーンはもともと音を入れず、チャップリンのサイレント映画のようにしたかったのです。『独裁者』のように世界を支えているというようなイメージでダンスを取り入れました」
司会(矢田部プログラミング・ディレクター)
「『独裁者』で地球儀の風船をポンポンあげるという、そのイメージですね」
Q:
「冒頭のスタテンアイランドの紹介の際に、“キル KILLS”という言葉が含まれている地名や通りがあるという表現がありましたが実際にそういう意味を含んだものなのでしょうか?それとも単に作品とリンクさせたジョークとして受け止めてよいのでしょうか?」
ジェームズ・デモナコ監督
「実は私もずっと知らなかったことでした。小さい時からあの島で育ちましたが、“キル”が付いた地名が多いので、何でだろうと思っていました。実は私の妻もスタテンアイランドの出身で、“グレートキル”というところの出身なのですが…奇妙な名前ですよね。
そこで、映画を作るにあたってリサーチをしました。それでわかったのは、アメリカのニューヨーク辺りでは、“キル”というのは、オランダ語が起源の「小さな水たまり」という意味なのだそうです。だけど、本当の意味ではそうなのですが、スタテンアイランドにはマフィアが沢山住んでいますし、“キル”本来の意味の“殺す”ということが感じられればいいかなと思い、説明しました」
2009.10.22[イベントレポート]
最優秀女優賞候補が登場!コンペティション『ストーリーズ』:10/21(水)Q&A+記者会見
21日(水)に上映された1本は、スペインのマリオ・イグレシアス監督作『ストーリーズ』。心に闇を抱えた小説家志望の中年女性を主人公に、彼女が創作した(という設定の)5つの物語が1つの大きな物語の中に短編として効果的に挿入されるという、凝った構成が魅力的な作品です。上映終了後には、イグレシアス監督と主演女優のコンセプシオン・ゴンサレスさんがQ&Aに登場。熱心な観客からの質問に答えました。
深い心理描写とリアルな事象を綴っていくという作風から、「これは実話が基になっているのか?」という質問が飛びましたが、イグレシアス監督は「すべて創作です」と回答。「ただし、フィクションを創る際にベースになっているのは(自分が生きてきた)現実ですから、その意味では実話が基になっていると言えるかもしれません。私自身が絵を描きますので、特に最後の肖像画を描くシーンは、現実とオーバーラップしていると言えます」と語りました。
また、「私は、最高のウソは真実だと思っています。カメラら舞台装置をリアルに作り込んでいけばいくほど、素晴らしいフィクションにつながると思いますし、自分がホラー映画を撮るとすれば、ずっと現実の人の姿を撮ると思います。現実こそが、本当の“恐怖”だと感じていますから」と、自身の映画哲学について披露。“映画監督を目指している”という男性からのアドバイスを乞う問いかけには、「(テクノロジーの発達で)技術的には、お金はなくてもやっていけます。映画監督として学ぶべきこともそんなにない。とにかく待たないでください、どんどん映画で語ることをしていってほしい」と答えました。
その後TIFFムービーカフェで行われた記者会見でも、イグレシアス監督の作風について質問が寄せられたほか、実際に心理療法士としても働いているゴンサレスさんと監督とのコラボレーションについての言及も。「自分が男性ということで、女優が(女性を)表現できるスペースを脚本にたくさん作っておいた」(イグレシアス監督)、「監督とは脚本の段階から随分と話をして、自分の経験から『ここはこうした方がいいんじゃないか?』等と話し合いました。ですから、(心理療法士としての)そういった視点は、しっかりと作品に反映されていると思います」(ゴンサレスさん)と、監督と主演女優の良好な関係がうかがえました。ちなみにお2人は、路上演劇からスタートして、7年間一緒に作品を創り続けられているとのこと。ゴンサレスさんは、イグレシアス監督の短編で映画デビューを果たし、今回が長編第1作になるということでした。
2009.10.22[イベントレポート]
腰が!体が!勝手に動いてしまう!くものすカルテットTIFF Music Live:10月21日(水)@TIFFpark
ヴァイオリン、アコーディオン、サックス、チンドンなどで構成された7人が織り成す、映画愛、音楽愛に溢れた楽しさいっぱいのステージ!
誰もが一度は聴いたことのある音楽を、見事にアレンジした演奏に多くの方が酔いしれました。
その構成の楽しさは、とにかく一度聴いてほしい素晴らしいものです。
(TIFFが4年連続で演奏をお願いしている理由がわかります。)
すこーしだけ冬の訪れを感じさせる肌寒いTIFFpark、19時からのLiveでしたが、演奏の熱さが寒さを忘れさせてくれました!
観客の皆さんの手拍子が、体を揺らしての歓声に変わり、大人も子供も大興奮の夜となりました。
今回のために特設されたブースでは、くものすカルテットの皆さんが演奏後自ら販売員となってCD、手ぬぐいを販売されました。
聴きたくなった方!今年はもう一度くものすカルテットTIFF Music Liveが開催されます!
10月24日(土)18:45スタートです!場所は六本木ヒルズアリーナ/TIFFpark!入場は無料です!今回聴かれた方、2回目も無料です!
アコーディオンを担当する坪川拓史さんの監督作品『掌の小説』は日本映画・ある視点部門にて、こちらも24日(土)20:40-(開場20:20)からTOHOシネマズ 六本木ヒルズ Screen6にて上映されます。
2009.10.22[イベントレポート]
コンペティション『エイト・タイムズ・アップ』:10/21(水)記者会見
「七転び八起き」からつけられたタイトルどおり、職も住まいも失うという度重なる困難に遭いながらも、諦めずに奮闘する女性の姿を描いた本作。軽快なタッチでユーモア満載で展開するストーリーですが、原作となった短編には明るさやコメディ要素など全くなったというから驚き!
※以下の記者会見には、映画の内容・結末に触れる要素が含まれます。
シャビ・モリア監督
「数年前に、この映画のきっかけになった短編映画をジュリーと製作しました。そのフィルムは、本作のラストシーンとして使用しているんですが、そのショートフィルムを2人で見たときに、“とても気分が落ち込むね。実際の僕たちとは全然違う”という話になったんです。そこで、キャラクターなどはそのままに、ただ物語の伝え方を変えてみようと思いました。今回の映画祭のプログラムに、『少年トロツキー』のジェイコブ・ティアニー監督の言葉で、“ケン・ローチのような映画を作ろうと思ったけど、ケン・ローチのような作品は作れない”というようなことが書いてありました。まさに僕もその通りだと思いました(笑)」
長編として生まれ変わった映画の中で、重要な人物となるのは、主人公エルザの隣人マチューの存在。
シャビ・モリア監督
「マチュー役に関しては、当初は全然ハンサムではないけど、どんどん魅力が増していくように描きたかったんです。ジュリーに“どんな俳優さんがいいかな”と話をしていたら、“4日前にドゥニを見かけたんだけど、ヒゲを蓄えてて、とてもハンサムでカッコよかったわ”と言われました。ドゥニは、フランスでコメディの演技に定評のあるですが、この役に合うかどうか僕は半信半疑でした。実際に、裸で泳いでいるシーンは、エルザが彼に惹かれていく場面でしたので、“シリアスに演じてほしい”と頼んだら、ドゥニからは、“そんなふうに言われたのは、生まれて初めて! 演じたことがないからわからない”という答えが戻ってきてしまいました」
ジュリー・ガイエさん
「彼はとても素晴らしい俳優よ。私はとてもセクシーな人だと思っています。まわりには否定する人もいるけど、たとえクシで髪をとかしていなくても、私にとって十分セクシーな男性です」
エルザとマチュー。近づいた2人はこれからどうなるの!?っというところで終わってしまうエンディング。これについて「2人は、お互いにとって運命の相手なのでしょうか?」という質問に、シャビ・モリア監督は、「最後、“あ、これからロマンチックな恋愛が始まるのかな”ということを匂わせて、映画は終わります。本来ならば、そこからハリウッド映画のような物語が始まる。観客の方は、ヤキモキするかもしれません。でも、私の映画はハリウッド映画ではないし、主人公の女性は、ロマンチック・コメディ向けのキャラクターではない。彼女はあまりにも多くの悩みを抱えています」とコメント。
すると、ジュリー・ガイエさんが、「私は、“最後2人をキスさせましょうよ!”っと言ったんだけど、監督には“絶対ダメ”と言われてしまったの」と少し残念そうな可愛らしい表情。監督は、「“時間があったら撮りたいんだけど、残念ながら空の雲行きが怪しくなってきた”と言って断ったんだ(笑)」とジュリーさんの願いを即座に却下した様子を話してくれました。
2009.10.22[イベントレポート]
【動画レポート】『天使の恋』 舞台挨拶:10/19(月)
2009.10.22[イベントレポート]
【動画レポート】『よなよなペンギン』舞台挨拶:10/19(月)
2009.10.22[イベントレポート]
【動画レポート】『オーシャンズ』舞台挨拶:10/17(土)
グリーンカーペットに引き続いて行われたオープニングセレモニーでの『オーシャンズ』の舞台挨拶。
ジャック・ペラン監督が作品についての想いと日本語版ナビゲーターの宮沢りえさんが作品のみどころを語りました。
→作品詳細
2009.10.22[イベントレポート]
【動画レポート】『曲がれ!スプーン』 公開記者会見&舞台挨拶:10/20(火)
記者会見動画からは超能力についてのトークと沢山のスプーンが曲がった様子を、舞台挨拶からは撮影時のエピソードをお楽しみください。
■公開記者会見
■舞台挨拶
→作品詳細
2009.10.22[イベントレポート]
トークショーで明かされるユ・ヒョンモク監督の秘密! 韓国映画史上ベスト1『誤発弾』上映:10/18(日)
アジアの秀作を紹介する「アジアの風」の中で、アジア映画史上の重要作を発掘するプログラムが「ディスカバー亜州電影~フィルム・アーカイヴの宝石」。18日には、去る6月に亡くなった韓国の国民的監督、ユ・ヒョンモクの代表作として、“韓国映画史上ベスト1”とも称される『誤発弾』が上映されました。同作は、朝鮮戦争直後の混迷の韓国を舞台に、ある男の周囲に起こる数々の不幸を描きながら、やり場のなかった当時の人々の苦悩を不条理とも言えるような描写で綴る圧倒的なドラマ。今なお強烈な印象を残すその迫力に、観客はぐいぐいと引き込まれていました。
上映後には、在日3世である『ライブテープ』の松江哲明監督と、ドキュメンタリー『2つの名前を持つ男 キャメラマン金学成・金井成一の足跡』で、故ユ・ヒョンモク監督と名コンビだったカメラマン金学成(キム・ハクソン)を採り上げた田中文人監督によるトークショーが行われ、ヒョンモク監督と『誤発弾』にまつわるエピソードが語られました。
田中監督によると「60年代当時の韓国映画はほとんどが粗末なスタジオセット内で撮影されていて、ジャンルもコメディかメロドラマが主流。内容もぬるぬるなんです。その中でリアルなロケ撮影の“誰も幸せにならない映画”が登場する(笑)」とのことで、「韓国には、東宝や東映のような製作から興行が一貫した大手映画会社がない」ため、『誤発弾』も「製作会社が倒産したためフィルムがすべて消失。サンフランシスコ映画祭用に送ったままアメリカでずっと眠っていたものが、戻ってきた」という経緯だったとか。松江監督も、「スタジオで撮った映画に対するアンチテーゼなのではないか? 外にカメラが出て行くことで、当時の空気感が入っていて、アメリカン・ニューシネマに近い空気を感じる」と、初見の際に驚きを隠せなかったことを明かしました。
ヒョンモク監督と交流のあった田中監督は、監督自身は「戦前のフランス映画や戦後のイタリアのネオレアリスモ映画がお好きだった」そう。「1945年以前には朝鮮半島では日本語で教育を受けているんです(ヒョンモク監督は25年生まれ)。60年代の韓国の映画人たちは、日本から輸入されたキネマ旬報に掲載されている脚本や技術レポートを、韓国語に翻訳して研究していたそうです。時を同じくして、日本でもキャメラが撮影所の外へと向かった松竹ヌーヴェルヴァーグやATG作品は観ていなくても、存在は知られていたみたいですね」と、本人から聞いたエピソードを披露しました。
ユ・ヒョンモクともに三羽烏と称された巨匠、キム・ギヨン監督の幻の戦映画『玄海灘は知っている』も、今後上映の予定(10/21、10/23)。韓国が誇る伝説的な巨匠監督の作品もぜひお見逃しなく。
誤発弾→作品詳細
玄海灘は知っている→作品詳細
2つの名前を持つ男 キャメラマン金学成・金井成一の足跡
→作品詳細
ライブテープ→作品詳細
2009.10.22[イベントレポート]
コンペティションも盛り上がっています! 『永遠の天』Q&A:10/19(月)
19日には、TIFFでの上映がワールド・プレミア、本作が長編初監督作となるリー・ファンファン監督の『永遠の天』が上映され、上映終了後にはスタッフ&キャストの皆さんによるQ&Aが開催。ファンファン監督以下、主演のおふたりリウ・ドンさん、フアン・ミンさん、共演のテー・チェンさん、シー・クーさんが出席し、実際に映画をご覧になった観客からの質問に答えていかれました。
同作は、経済的に大きな変革を迎えた90年代初頭からSARS騒動を経て北京五輪へという約20年間を、ひとりの少女の恋愛と成長を通して描き出していく青春物語。若くして女流ベストセラー作家となり、本作で長編初メガホンを執ったファンファン監督は、「自分の生活に密着したリアルなものを撮らなければいけないと考え、何度も自分に問いかけながら撮影に臨んでいた」と撮影時を振り返り、観客の「映像がクール」という感想に「意図して撮ったものではなく、改革から20年以上が経ち、私たちが暮らす今の中国はこういう風に美しいのです」と返しました。また、「デビュー作にも関わらず、なぜ20年間もの壮大な物語にしたのか?」の問いには、「長く生きていたい、ずっと美しくありたいなど、生きている以上、人には誰しも望みがある。だがそのほとんどは叶えられないもの。そういったテーマを描くために、必然的に20年の時期が必要だっただけで、自伝的要素もヒロインが宿舎で嘔吐するシーンなど、ほんの少ししかない」ということでした。
眩しいグリーンのドレス姿を披露した、ヒロイン役のリウ・ドンさんは、「好きなシーン」を尋ねられ「高校時代に、自分で名前を言うところ。個性が良く出ていると思います」と回答。「とても緊張していて、なんて言ったらいいのかわかりません……」と恐縮しつつ、「演技するということは、色々な役柄になりきることができるということ。監督はまさに(出演する)私たちを、青色の夢の中に連れて行ってくれました」と、出演した心境を明かしてくれました。そして、フアン・ミンさん、テー・チェンさん、シー・クーさんも、監督の演出の手腕が確かだったこと、創り上げられたシーンに満足していることを強調しました。
後に控えた記者会見のため少し慌ただしい雰囲気ではありましたが、参加された観客の皆さんも満足げな表情。映画祭ならではのQ&Aの雰囲気は、ぜひ体験するべきだと思いますよ。