2009.10.24
[イベントレポート]
一発勝負ゲリラ撮影! 日本映画・ある視点部門『ライブテープ』:10月22日(木)Q&A
2009年元日、東京・吉祥寺。ミュージシャン・前野健太さんがギターをかき鳴らして唄いながら、八幡神社から井の頭公園まで練り歩いてゆく姿を、74分1シーン1カットで撮影した『ライブテープ』。『童貞。をプロデュース』の松江哲明監督の最新作ともあって会場は満席! 上映後のQ&Aでは、松江監督と前野さんが登場。本作の撮影秘話を語ってくれました。
松江監督「企画を思いついたのは、昨年の12月の1週目だったんです。作品の中でも話していますが、ちょうどその当時って、父が亡くなり、まわりの人が亡くなっていく恐怖を抑え切れなかった時期でした。お酒を飲んでは、酔っ払って人に迷惑をかけていました。そんなとき、吉祥寺の町を歩いているときに、前野さんの歌を聞きたい、という気持ちが高まったんです。
元日を選んだのは、1年の中で、人手が一番少ないだろうというと予測したからです。でも実際撮影するときには、僕の予想以上の賑わいで、そこは誤算でしたね(笑)」
――1カット1シーンでの撮影について
松江監督「実は僕は3回くらい撮って、その中からベストテイクを使おうと思っていたんですが、1発で行こうと決めたのは、カメラマンの近藤くんの言葉です。“60分も回ったら、どんなトラブルがあったとしても、それはNGになりません。そこまで回ったらOKになるはずですよ”と言われたんです。
でも井の頭公園のあのステージって、絶対勝手に音出しちゃいけないんです。申請を出そうと思いましたが、すぐに許可が下りるはずがない。撮影当日の午前中に1回音を出して、時間を計ってみたんです、何分で警備員がくるかって(笑)。そしたら最初に音出して、9分、いやもっと短かったかも。すぐに警備員がきて、アンプもつないじゃだめだし、絶対やっちゃだめって言うんです。でも、僕らは絶対やりたかった。結局、最終的な確認がとれないまま、僕らが八幡神社をスタートしようとしたら、警察官が3人きたんです。“コレはヤバイ!”って思いました。前野さんにとっても直前でしたよね?」
前野さん「そうですね。信号の向こうから、監督がもんのすごい顔して、“中止!バラします”って。監督のうしろには警察官が3人ぐらいいて、もうダメなのかなと思いました(笑)」
松江監督「でももうやりましょう、と。長澤つぐみさんがぴったり3時に参拝できるように、スタッフも2時間ぐらいずっと並んでてくれてて、これを逃したらもうできないと思いました。井の頭公園ではスタッフの1人が、“死んだ友達のためにどうしても1曲やりたいんだ”って嘘を言ってくれて、警備員の方が“じゃあ、1曲だけ”って。僕はそれ、全部撮影後に聞いたんですけど。井の頭公園に着いたら警備員の方がいたので、“撮影終わったら武蔵野警察署だな”と思いました」
前野さん「ほかにも、警官がいたせいで、もともと決めていたルートが通れないとかいろいろありましたね」
松江監督「僕は現場で高揚しましたね! もともと決めてたルートも外れて、キャメラの動きも変わったけど、段取りが崩れてリハーサルどおりにならなくなったあたりから、面白くなったなぁ」
――この映画への出演で何か変化はありましたか?
前野さん「今回、いろんな技術が合わさって自分の歌を違う角度から見ることができました。音楽をやってきてよかったなと思います。『天気予報』は、自分の父親が亡くなって作ったときの歌ですが、松江監督もお父さんを亡くされて、歌をやっていたからこそ繋がれた。それがうれしかったですね」
松江監督「僕はね、前野さんが撮影前に、“今まで一番大きい(ステージ)です”って言ってくれて、それカッコイイなと思いましたね」
前野さん「普段はハコがありますから。映画では無限大のステージです」
――来年のお正月は何をされていますか?
松江監督「吉祥寺で上映をしてると思います」
前野さん「10年後にまたやろうとしてるんですよね?」
松江監督「もう何でそれ言っちゃうの(笑)?」
前野さん「僕は、たぶん歌を作って、歌い続ける。それを続けていきたいです」
(左から)松江哲明監督、前野健太さん
松江監督「企画を思いついたのは、昨年の12月の1週目だったんです。作品の中でも話していますが、ちょうどその当時って、父が亡くなり、まわりの人が亡くなっていく恐怖を抑え切れなかった時期でした。お酒を飲んでは、酔っ払って人に迷惑をかけていました。そんなとき、吉祥寺の町を歩いているときに、前野さんの歌を聞きたい、という気持ちが高まったんです。
元日を選んだのは、1年の中で、人手が一番少ないだろうというと予測したからです。でも実際撮影するときには、僕の予想以上の賑わいで、そこは誤算でしたね(笑)」
――1カット1シーンでの撮影について
松江監督「実は僕は3回くらい撮って、その中からベストテイクを使おうと思っていたんですが、1発で行こうと決めたのは、カメラマンの近藤くんの言葉です。“60分も回ったら、どんなトラブルがあったとしても、それはNGになりません。そこまで回ったらOKになるはずですよ”と言われたんです。
でも井の頭公園のあのステージって、絶対勝手に音出しちゃいけないんです。申請を出そうと思いましたが、すぐに許可が下りるはずがない。撮影当日の午前中に1回音を出して、時間を計ってみたんです、何分で警備員がくるかって(笑)。そしたら最初に音出して、9分、いやもっと短かったかも。すぐに警備員がきて、アンプもつないじゃだめだし、絶対やっちゃだめって言うんです。でも、僕らは絶対やりたかった。結局、最終的な確認がとれないまま、僕らが八幡神社をスタートしようとしたら、警察官が3人きたんです。“コレはヤバイ!”って思いました。前野さんにとっても直前でしたよね?」
前野さん「そうですね。信号の向こうから、監督がもんのすごい顔して、“中止!バラします”って。監督のうしろには警察官が3人ぐらいいて、もうダメなのかなと思いました(笑)」
松江監督「でももうやりましょう、と。長澤つぐみさんがぴったり3時に参拝できるように、スタッフも2時間ぐらいずっと並んでてくれてて、これを逃したらもうできないと思いました。井の頭公園ではスタッフの1人が、“死んだ友達のためにどうしても1曲やりたいんだ”って嘘を言ってくれて、警備員の方が“じゃあ、1曲だけ”って。僕はそれ、全部撮影後に聞いたんですけど。井の頭公園に着いたら警備員の方がいたので、“撮影終わったら武蔵野警察署だな”と思いました」
前野さん「ほかにも、警官がいたせいで、もともと決めていたルートが通れないとかいろいろありましたね」
松江監督「僕は現場で高揚しましたね! もともと決めてたルートも外れて、キャメラの動きも変わったけど、段取りが崩れてリハーサルどおりにならなくなったあたりから、面白くなったなぁ」
「サングラスとってください」という観客のリクエストに、
「今ですか? 段取りと違うな」といってサングラスを外す前野さん
「今ですか? 段取りと違うな」といってサングラスを外す前野さん
――この映画への出演で何か変化はありましたか?
前野さん「今回、いろんな技術が合わさって自分の歌を違う角度から見ることができました。音楽をやってきてよかったなと思います。『天気予報』は、自分の父親が亡くなって作ったときの歌ですが、松江監督もお父さんを亡くされて、歌をやっていたからこそ繋がれた。それがうれしかったですね」
松江監督「僕はね、前野さんが撮影前に、“今まで一番大きい(ステージ)です”って言ってくれて、それカッコイイなと思いましたね」
前野さん「普段はハコがありますから。映画では無限大のステージです」
――来年のお正月は何をされていますか?
松江監督「吉祥寺で上映をしてると思います」
前野さん「10年後にまたやろうとしてるんですよね?」
松江監督「もう何でそれ言っちゃうの(笑)?」
前野さん「僕は、たぶん歌を作って、歌い続ける。それを続けていきたいです」