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2009.10.23
[イベントレポート]
natural TIFF部門『クリエイション  ダーウィンの幻想』:10/20(火)Q&A

natural TIFF部門上映作品『クリエイション  ダーウィンの幻想』。この作品のプロデューサーのジェレミー・トーマスさんが登壇!観客とのQ&Aに参加されました。

ジェレミー・トーマスさんは、『戦場のメリークリスマス』、『ラストエンペラー』といった作品をプロデュース、これまでにニコラス・ローグやデヴィッド・クローネンバーグ、(監督としての)ジョニー・デップにヴィム・ヴェンダース、テリー・ギリアムといった面々と仕事をしてきた“超”大物プロデューサーの一人です。

初来日から数えること何と今回で55回目の来日ですね!
「1980年にニコラス・ローグの『ジェラシー』で来日して以来、何度も日本には訪れました。日本でもたくさんの友達が出来、たくさんのお仕事をさせていただきました。また1950、60年代の日本の巨匠の作品は、私の映画を愛する気持ちに非常に大きな影響を与えてくれています」とジェレミーさんは日本への印象を語られました。


東京国際映画祭には、1987年に開催された第2回TIFFのクロージング作品として上映された『ラストエンペラー』で参加されたことが最初ですね。
「東京国際映画祭は映画を見せる上でとても良い場所だと思っています。私も喜んで東京国際映画祭という場所に戻ってきています。でも、今、世界では映画に対する“食欲”というものが少しずつ減っていて、この映画祭という限られたものの中でだけ映画が回っているという状況があり、なかなか大勢の皆さまに伝わらないということがあると思います。
でも、世界中の映画祭を巡り巡って作品を上映して、このように観客の皆さまとインタラクティブな空間を持てるということは非常に貴重だと考えています」と、映画界の現状についても少しだけ触れていただきました。

作品に関してもおたずねしましょう。
実際の夫婦である、ポール・ベタニーとジェニファー・コネリーの起用について?
「この作品の脚本はジョン・コリーが担当しました。そのコリーが脚本を担当した『マスター・アンド・コマンダー』にもポール(・ベタニー)は出演していて、(その時のポールの役柄はダーウィンとはまったく違う役柄だったが、)コリーがポールにチャールズ・ダーウィンをやらせたら良いのではないかと言ったのです。言われてみれば実際に顔つきがダーウィンに非常によく似ている。ですので、最初からダーウィンはポールでいこうという話で進み、他の俳優は探しませんでした。
それで、奥さん役はどうしようかとずっと考えていましたが、どうもジェニファーがこの役をやりたがっているという話をポールから聞き、夫婦と契約することになりました(笑)。
また、アニー(ダーウィン夫妻の子供役)については、非常に重要な役柄でしたので、約200、300人の女の子からオーディションで探し出しました」

ジョン・アミエル監督について?
「彼はショーン・コネリーを監督した(※ジョン・アミエルさんは『エントラップメント』を監督しました。)からです(笑)。アミエル監督は元々テレビのディレクターとして活躍しており、それからハリウッドの監督になった人物でした。そして今回、『種の起源』で世界を変えたチャールズ・ダーウィンという人物を映画で描くにあたり、(ダーウィンという人物に)隠された、裏側にあるような話ではなく、よりポピュラーなエピソードが観客に伝わるようにと思って監督を探していたところ、経験豊富な彼(アミエル)が良いのではということになりました。
アミエルは監督として非常に優れているし、俳優の扱いがとても上手でした。私も沢山の映画を作ってきましたが、そういう経験は非常に大事なことだと思います」

シナリオについて?
「ダーウィンの曾曾孫(にあたるランドル・ケインズ)が書いた小説に基づいた脚本なので、物語にはより信憑性があるのではないかと思います」

『クリエイション』という、聖書でいう“天地創造”というタイトルを付けようと思った理由は?
「原作の“Annie's box”というタイトルが(この映画には)ふさわしくないのではと感じたことと、ダーウィンという人物の頭の中で起きていたこと…人類の発生や成り立ちについて考えていたということを表すには『クリエイション』というタイトルが一番良いのではないかと思いました。当時は恐竜の存在でさえ認められなかった時代でしたが、ダーウィンは子供たちに地層の様子などを見せながら説明していました。そういったこともある意味、“クリエイション”だったのではないかと思いました」

宗教色の強い国でのリアクションはどうですか?
「そういう観点で、自分からリアクションを確認したり研究したりはしていないのですが、私としては宗教と科学の要素が非常にバランスよくとれていると思っていて、どちらかに重きを置いているということはないと思います。
数週間前のトロント国際映画祭で上映した際には非常に良い反応やレビューをいただきましたし、一部のそういった宗教的な方からの反応もあったかもしれませんが、基本的には良い評価をいただきました。アメリカでは、メル・ギブソンの『パッション』と同じ配給会社がついて、2009年12月に公開が予定されています。
私たちがこの映画のプロモーションを行っている理由は、チャールズ・ダーウィンという、それまで誰も思いつかなかったことを考えついた人がいるという、その彼の考え方を映画と共にプロモーションしているからであると考えています」

ご自身について
沢山の作品をプロデュースする秘訣とは?
「非常にラッキーなことに、私は映画の世界の中に生まれてきたようなものでした。父(ラルフ・トーマス)は50作品近い作品をつくった映画監督であり、私が17歳になった時には、すでに進む道は決まっていました。最初はエディターから始まり、プロデューサーになりましたが、実はそれは偶然の過ちであり、本当は父に倣って映画監督になりたかったのです。
私のプロデューサーとしての秘訣についてですが、とにかく自分のテイストを信じ、従うことが自分のレシピです。映画の大小にかかわらずつねに情熱を失わず、自分のテイストに従うようにしています」


台本を書く段階でプロデューサーとして注文をつけたりはするのでしょうか?
「干渉し過ぎないように心がけていますが、映画としてのある程度の基準を守りたいという気持ちもあるので、全てのプロセスに関わるようにしています。スチールや演技のクオリティについても細かく気を遣ってきて、まるでハンドメイドのスーツを作っているような気分ですよ(笑) キャスティング、脚本、音楽、舞台美術、そして今回のようなプロモーション活動にも関わるようにしているのです」

一つ一つの質問に対し、非常に丁寧な回答をしてくれたジェレミー・トーマスさん。観客との貴重なQ&Aの時間もまさしくアッという間に終了となってしまいました。日本での劇場公開は未定という本作。日本公開決定時にはまたジェレミーさんにも来日していただき、貴重なお話しを聞かせていただきたいですね。


"Action! for Earth"というコンセプトは素晴らしい!とジェレミー・トーマスさん






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