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2009.10.24
[イベントレポート]
満員御礼!で熱気満点 アジアの風部門『キングコングを持ち上げる』:10/21(水)Q&A

田舎の女子中学校・重量挙げ部コーチに就任した、ソウルオリンピックの重量挙げ銅メダリストが、6人の部員たちとオリンピックを目指す、実話をベースにしたスポ根コメディ『キングコングを持ち上げる』。その上映終了後に、監督のパク・ゴニョンさん、プロデューサーのギルロー・ハンさん、そして、主演男優のイ・ボムスさんをお招きしてのQ&Aが、満席のTOHOシネマズ 六本木ヒルズ Screen5で行われました。

いわゆるアイドルとは一線を画す、演技派俳優のイ・ボムスさんではありますが、ついさっきまでスクリーンの中でみていた映画スターの登場に、場内の気温は2~3度上昇したのでは? という大歓迎ムードでイベントは進行。

まずは、観客の皆様へのごあいさつということで、黒いシックなスーツにメガネという、クールなスタイルのイ・ボムスさんが、丁寧な口調で映画祭に参加した喜びを語られた後、マイクをとられたギルロー・ハンさんは「私は今回、はじめて日本に来ました」。日本人は優しく、温かく、信頼ができると、大変なおほめのお言葉の数々に、一日本人としては恐縮することしきりです。最後に、パク・ゴニョン監督は英語で(!)ごあいさつをされた後、日本語で「ホントにありがとうございます」と、サプライズの連発で会場を沸かされていました。


Q&A最初の質問は、男性のお客様からの「劇中で何度もとりあげられている、ヤン・ヒウンという女性歌手」について。
パク・ゴニョン監督のお答えは「彼女は“韓国のボブ・ディラン”とも称される有名な歌手なのですが、イ・ボムスさんが演じた“イ・ジボン”役のモデルとなった先生が、じつはヤン・ヒウンさんのファンだったので、このエピソードをとり入れることにしました」というもの。
また、同じ男性からの「重量挙げ部の生徒のひとりが、ポソン女子中学から中央高校へ移籍するというシチュエーションがありましたが、このニュアンスがよくわからなかったのですが・・・」というふたつめの質問には、監督は「中学を卒業して、高校に入学しても、引き続きイ・ジボン先生のもとでトレーニングを積んでいた生徒がいたんですが、彼女が実力をつけていくに従って、本来の所属である高校の重量挙げ部で活動していこうと、そういうことを表現したのです」と答えられていました。

キングコング

次の質問は「なぜ、主役にイ・ボムスさんを起用したのですか?」というもの。
監督のお答え「彼は演技も上手いし、とてもステキな俳優だからです」には、満場一致で納得といったところでしょう。

ここで司会から「題名の“キングコング”というフレーズは、イ・ボムスさんの起用が決まってから、彼をイメージしてつけたのですか?」という質問がはさまれたのですが、これはオリジナル脚本の執筆時からつけられていたものだそうです。

お客様からの3つ目の質問は、「韓国のポソンが舞台となっていますが、実際の撮影もポソンで行われたのでしょうか?」。
こちらにはギルロー・ハンさんが、「ロケの80%程度は、ポソン郡で行っています。ロケ地を選定する際に、監督のイメージをもとに画コンテを起していったのですが、その風景のほとんどがポソンに残っていたのです。ポソンの皆さんは大変に協力的で、パレードのシーンをはじめとする多くのシーンで出演していただいています」とコメントを。



次の質問は女性のお客様から。まず最初に、本作の演技で韓国映画評論家協会賞・主演男優賞を受賞したイ・ボムスさんに祝福の言葉を述べられた後、選手時代の重量挙げのシーンや、アクション映画への出演などで腰を痛めたといわれるイ・ボムスさんに、体調についての質問を。
マイクを手にしたイ・ボムスさんは、「重量挙げは、一見、簡単そうにみえますが、実際はトレーニングを積んで、正しい姿勢をとらなければなりません。俳優は“そうみえる”ためには努力を惜しみませんし、その結果、ケガをしてしまったとしても、それは仕方のないことでしょう。この感覚は、韓国だけではなく、日本も欧米も同じだと思いますよ」とのご回答。ちなみに、重量挙げのトレーニングで気をつけなければならないのは「腰のケアはもちろんですけど、
ウェイトを持ち上げる時にバーが鎖骨にぶつかるんですね。これがとても痛いです。次に、腕をまっすぐ伸ばす時に、バーがよくアゴにあたって舌を噛んでしまうんですが、これもとても痛いです(笑)」なのだそうです。
また、同じ女性からの「明日、明後日のご予定は?」の質問には、「ずっと取材です」と、笑って答えていらっしゃいました。



続いての質問は、「『キングコングを持ち上げる』は、今秋の韓国映画の大ヒット作『国家代表』と共通項が多く、興味深く拝見しました」という男性のお客様から。6人の女優についてのその問いに、パク・ゴニョン監督は「彼女たちのうちひとりはキャリアも豊富なプロの女優ですが、その他の5人は全員新人です。キャスティングは、役に対する理解と情熱を考慮して決定しました」「イ・ボムスさんは、劇中では彼女たちの重量挙げのコーチでしたが、カメラがまわっていない時は、若手女優を育て上げる演技の先生として力を貸してくださったのです」と、ちょっといい話を披露。

この後も、イ・ボムスさんが『シコふんじゃった。』や『ウォーターボーイズ』が好きなことや、パク・ゴニョン監督が小津安二郎監督、周防正行監督、矢口史靖監督のファンであること、ギルロー・ハンさんが『デスノート』の前編に出演していた女優(香椎由宇さん? 瀬戸朝香さん?)と一緒に仕事をしたいと思っていることなど、日本映画に関する話題もとび出したのですが、残念ながらタイムアップ。



このレポートの最後は、イ・ボムスさんの素敵なコメントで締めることにしましょう。
「私は、国際映画祭のこのような場は、本当に大切なものだと思います。『相棒~シティ・オブ・バイオレンス~』でヴェネチア国際映画祭に参加した時もそう感じたのですが、私たちの映画を、いままさにご覧いただいた観客の皆様と、同じ空間、同じ時間を過ごすことができるのは、なんて素晴らしいことでしょうか。本日は、どうもありがとうございました」

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