2009.10.24
[イベントレポート]
コジャレた勘違いもポジティブに!コンペティション部門『見まちがう人たち』Q&A+記者会見:10/20(火)
4日目を迎えた東京国際映画祭。20日の「コンペティション」上映作品の1本は、チリ・ポルトガル・フランス合作の『見まちがう人たち』。上映終了後にはコンペ恒例のQ&Aが開催され、本作が長編デビュー作となったクリスチャン・ヒメネス監督と女優のパオラ・ラトゥスさんが舞台に登場し、観客からの質問に答えました。
同作は、監督の出身地でもあるチリの地方都市バルディヴィアを舞台に、ある手術によって盲目から回復したあとに大企業の宣伝に利用されるスキーヤーを中心として、ショッピングモールの監視員、盗癖のある人妻、リストラされるエンジニア、豊胸手術を夢みる女性などの人生が交差する、ユーモアと皮肉が効いた群像劇。作品の表面ではなく、もっと奥深いところに真のテーマが秘められている作品と皆さん受け取ったようで、質問もこの部分に集中しました。
作品を作った経緯についてヒメネス監督は、「5年前に、テレビプロデューサーを務めて4年間住んでいたイギリスからチリに戻りました。その際に、とても国がモダンに変わっていたんですね。でも、その変化は私にとっては少し不自然な方向に見えました。昔ながらの街並みに、突然映画の舞台にもなっているショッピングセンターが現れて、そのガラスの表面に街が反射して映っているんです。そのときですね、アイディアが生まれたのは」と語り、テーマについて「重要なのは、みんなが持つ勘違いや幻想といったものをポジティブに捉えること。新しいテクノロジーがもたらす変化を批判的に捉えるのではなく、一歩踏み込んで、それをコメディに、そしてさらに美しいものに昇華できればと考えています」と続けました。
その後、TIFFムービーカフェでも、お2人による記者会見が開催。劇中のイメージと違い、髪の毛をばっさり切った姿のパオラさんには、監督とのコラボレーションについての質問が寄せられ、「私は舞台中心の女優で、映画はこの作品が初めて。監督は常に側にいてくれて、的確な演技指導を行ってくれた」と語りました。また、「チリでは北部と南部で気質がかなり違う」とのことで、「私は北の出身で、監督は南部。北では体型を気にしたり、気後れするということはまずありません。話し方や性格、歩き方まで、指示をもらった」と撮影時の裏話を明かしてくれました。
また、劇中で何度も登場する「ビダスール社」は、架空の企業にも関わらず、エンドクレジットの一部にもそのロゴが登場。その点について指摘した質問が飛ぶと、「あれはジョークです」と明かし、原題でもある「Optical Illusions」=幻視(まぼろし、見まちがい)が、実際にも試されていることが分かりました。
「映画製作が活発になってきてはいるが、“映画産業”があるとはまだ言えない」と監督が語るチリですが、ヒメネス監督が優秀なフィルムメイカーであるのは間違いない真実。「次回プロジェクトのために小津(安二郎)の作品を観ている」という監督から、今後も目が離せません。
→作品詳細
同作は、監督の出身地でもあるチリの地方都市バルディヴィアを舞台に、ある手術によって盲目から回復したあとに大企業の宣伝に利用されるスキーヤーを中心として、ショッピングモールの監視員、盗癖のある人妻、リストラされるエンジニア、豊胸手術を夢みる女性などの人生が交差する、ユーモアと皮肉が効いた群像劇。作品の表面ではなく、もっと奥深いところに真のテーマが秘められている作品と皆さん受け取ったようで、質問もこの部分に集中しました。
作品を作った経緯についてヒメネス監督は、「5年前に、テレビプロデューサーを務めて4年間住んでいたイギリスからチリに戻りました。その際に、とても国がモダンに変わっていたんですね。でも、その変化は私にとっては少し不自然な方向に見えました。昔ながらの街並みに、突然映画の舞台にもなっているショッピングセンターが現れて、そのガラスの表面に街が反射して映っているんです。そのときですね、アイディアが生まれたのは」と語り、テーマについて「重要なのは、みんなが持つ勘違いや幻想といったものをポジティブに捉えること。新しいテクノロジーがもたらす変化を批判的に捉えるのではなく、一歩踏み込んで、それをコメディに、そしてさらに美しいものに昇華できればと考えています」と続けました。
シャツの柄にも注目
その後、TIFFムービーカフェでも、お2人による記者会見が開催。劇中のイメージと違い、髪の毛をばっさり切った姿のパオラさんには、監督とのコラボレーションについての質問が寄せられ、「私は舞台中心の女優で、映画はこの作品が初めて。監督は常に側にいてくれて、的確な演技指導を行ってくれた」と語りました。また、「チリでは北部と南部で気質がかなり違う」とのことで、「私は北の出身で、監督は南部。北では体型を気にしたり、気後れするということはまずありません。話し方や性格、歩き方まで、指示をもらった」と撮影時の裏話を明かしてくれました。
また、劇中で何度も登場する「ビダスール社」は、架空の企業にも関わらず、エンドクレジットの一部にもそのロゴが登場。その点について指摘した質問が飛ぶと、「あれはジョークです」と明かし、原題でもある「Optical Illusions」=幻視(まぼろし、見まちがい)が、実際にも試されていることが分かりました。
「映画製作が活発になってきてはいるが、“映画産業”があるとはまだ言えない」と監督が語るチリですが、ヒメネス監督が優秀なフィルムメイカーであるのは間違いない真実。「次回プロジェクトのために小津(安二郎)の作品を観ている」という監督から、今後も目が離せません。
→作品詳細